東洋医学や漢方を用いた治療をお考えなら、長年の信頼と実績ある下山薬局(倉敷市)へご相談ください。

日本人とアルコールの歴史

日本人とアルコールの歴史

アセトアルデヒドが悪酔い・二日酔いの原因!!……  

 今日は、日本人はアルコールに弱い民族であるということをお話ししましょう。私も日頃お酒を飲み過ぎて、次の日の朝、しまった飲み過ぎたということがあります。この二日酔いの原因ですが、飲酒により体内に入ったアルコールは、まず肝臓内のアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドは、毒性が強く、これが悪酔い・二日酔いの原因になります。

遺伝的にアセトアルデヒドを直ぐ作る日本人!!……  

二日酔い 頭痛

 頭痛・吐き気・むかつき・胃炎等々つらい二日酔いの原因はアセトアルデヒドが体内で分解出来ないからです。そこでアルコールの分解についてお話しします。アルコールはまずADH(アルコール脱水素酵素)でアセトアルデヒドに分解されます。ADHには不活発型と活発型があります。不活発型はゆっくりアセトアルデヒドに分解して行きますが、活発型はアルコールを速やかにアルデヒドに変えます。ADHの遺伝子型は各人種固有の出現頻度を持ち、民族差があります。日本人は約85%が活発型で、欧米人は約10%が活発型です。つまり日本人の多くは、簡単にアルコールがアセトアルデヒドに変わりアセトアルデヒドの作用がすぐに出ます。ですから、日本人はアルコールを飲むと、直ぐ心臓がどきどきするとか、真っ赤になるとか、頭痛がするという方が多いと言うことになります。まずここで、日本人はアセトアルデヒドの害を受けやすい体質であることがご理解頂けると思います。

日本人の遺伝的要因!飲める人50%、飲めない人40%、下戸10%……  

 次が重要なのですが、アセトアルデヒドを分解する酵素、アセトアルデヒド脱水素酵素が働くわけですが、アセトアルデヒドが増えないと働かないタイプ1型と 少量のアセトアルデヒドでもせっせと分解するタイプ2型があります。前者はALDH1、後者はALDH2と名付けられています。後者のALDH2が重要です。ALDH2は、3タイプがあります。働き者のALDH2*1(長男)と、働きの弱いALDH2*2(次男と三男)の2タイプ(で3人)があります。欧米人はすべてALDH2*1(長男)を持っているのに対して、日本人は約半数しかALDH2*1(長男)を持っていません。残りの半数は働きの弱いALDH2*2(次男と三男)しか持っていません。この不活性型(働きの弱い次男と三男)には、部分欠損型(次男)と、欠損型(三男)の2種類があります。活性型(長男)はアセトアルデヒドがすぐに分解するので、アセトアルデヒドによる症状が出にくい人です。長男は二日酔いにならない人です。部分欠損型(次男)の人はアセトアルデヒドを分解するのに時間がかかり、飲酒するとアセトアルデヒドの害を受けやすい体質といえます。欠損型(三男)の人は、アセトアルデヒドを殆ど分解できないため、アルコールを全く受けつけない体質といえます。日本人では活性型(長男)は約50%、部分欠損型(次男)は40%、アルコールを全く受けつけない欠損型(三男)下戸が約10%の割合です。欧米人、黒人と白人は殆どの人が活性型(長男)です。これは、遺伝的に決まっているとお考えください。

肝臓の酵素の問題!……  

meosが活性!

 それともう一つの要素に、MEOS(ミクロソームエタノール酸化系酵素)は本来タンパク合成や抗生物質・鎮痛剤など、薬物や異物の代謝を行っていますが、血中アルコール濃度が上昇すると代謝を始め、大量飲酒・常飲によって活性が亢進します。部分欠損型の人は、飲酒を重ねるとMEOS活性が鍛えられその力が強くなってきますから、飲めない人が飲めるようになることもありますが、血中アセトアルデヒド濃度がいつも高くなるので注意が必要です。そして、飲めない人が無理して飲むと、やはり常に体内の胃、食道、喉などの粘膜をアルコールが刺激しますので、咽頭癌などになるリスクが上がりますので、アルコールは、飲めない人は、無理して飲まない方がよいとされています。

アルコールと日本人の歴史!……  

日本地図

 また、筑波大学の調査によりますと、日本人に於いてお酒に強いタイプの人は、中部、近畿、北陸で少なく、東西に向かうにつれて増加、九州と東北で多くなる傾向が解りました。秋田県で最多77%、鹿児島と岩手で71%、これに続き、最小は三重県の40%、次ぎに少ないのは愛知県41%だそうです。
 どうしてこうなったのかは、一つの説として、人の細胞に含まれるミトコンドリア(女性のみを通じて子孫に伝わる)の遺伝子の比較研究から人類は20〜30万年前にアフリカに誕生したといわれています。その後、中近東を経てヨーロッパおよび南北アジア大陸にわかれてその子孫が移動し、一部は北アジアからはベーリング海を経て北アメリカ、さらには南アメリカへ渡りました。最初の人類は、黒人、白人、黄色人種、全員がお酒に強い民族だったのです。この人類移動の途上、北アジアのモンゴロイド人種の祖先の中に於いて、2〜3万年前、ALDH2型の遺伝子の変異が起こりました。ここで、先ほどの長男、次男、三男が誕生したわけです。日本人の祖先も2度の渡来があったという説が有力ですが、最初の日本人はALDH2型の1(長男)の遺伝子をもった人達で、その後、大陸からこの突然変異型のALDH2型の2 の遺伝子の混じった人達が本州中部に来て広まったと考えると、この説ともよく合います。このように遺伝子は私たちの祖先についての情報も語ってくれるのです。
 このような歴史の中で、私たち日本人は、アルコールに弱い民族となったわけです。ですから、ウイスキーや洋酒の40度~80度のお酒よりは、ビールや日本酒と言うようにアルコール度数の低い酒を好むことが、ご理解頂けると思います。酒は百薬の長といわれますが、あくまで適量であると言うことです。本日は日本人とアルコールについてお話しいたしました。



倉敷市下山薬局

コメント


認証コード8429

コメントは管理者の承認後に表示されます。

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional